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瓦の耐震性について

戦後最大の自然災害となった阪神大震災では、家屋倒壊は深刻な問題となりました。特に木造住宅の倒壊が瓦屋根の重さが原因であるかのように報道されました。

今回の場合、木造瓦屋根の倒壊については、建築基準法改正以前の老朽化した建物が多かったことなど、様々な要因によって引き起こされたことが考えられます。しかし、こうした中でもほとんど被害を受けなかった瓦屋根があったことも事実です。

この事実を踏まえ、現在においてはこれまで以上に自然災害に強い、より安心で快適な住まいづくりとして「耐震強風特別工法」の普及に努めています。

耐震強風特別工法

瓦は1枚ごとに「ひっかけ」がついており、瓦桟に引掛けることで、ズレにくく、災害にも強くなっています。また、施工においてもこれまでも日本建築学会建築工事標準仕様書(JASS12・屋根工事 ※図1参照)や住宅金融公庫木造住宅工事共通仕様書(※図2参照)で、仕様が明記されています。しかしながら、今回のような予想以上の災害にも対応出来るよう、全日本瓦工業連盟、全国陶器瓦工業組合連合会では、「耐震強風特別工法」(※図3参照)についても確立、普及に努めています。

<図1>

日本建築学会建築工事標準仕様書(JASS12・屋根工事)

『桟瓦は軒およびけらばから2枚通りまでを1枚ごとに、その他の桟瓦は登り5枚目ごとに釘打ちまたは緊結する。その他の場合は特記とする。』

<図2>

住宅金融公庫木造住宅工事共通仕様書

『引掛け桟瓦は、軒及びけらばから、2枚通りまでを1枚ごとに釘打ちする。
その他桟瓦は、登り4枚目ごとに緊結又は釘打ちする。』

<図3>

「耐震強風特別工法」

  1. 瓦1枚毎に釘打ちする「全数釘打ち」
  2. 瓦桟のサイズを大きくすること(15mm×24mm以上を使用)
  3. 棟施工の強化

工法による屋根の重量差

瓦の葺き方は、大きく2種類に分けられます。昔は、土を敷いた上に瓦を葺く「土葺工法」のみでしたが、関東大震災(大正12年)頃から、瓦の裏に尻剣(引掛爪)を付け、桟木に引掛ける「引掛桟瓦葺工法」が関東地区を中心に普及し始めました。

「引掛桟瓦葺工法」は屋根の重量が「土葺工法」に比べ約1/2~1/3と軽く(※図4参照)建物に大きく負担をかけません。阪神大震災では、木造家屋の倒壊原因として瓦屋根の重さが挙げられていますが、神戸市を含め関西地区は、関東地区に比べ建築基準法改正以前に建てられた古い住宅が多かったり(表1)、「土葺工法」により負担が大きかったためと考えられます。

  1945年以前に建築1965年以前に建築
神戸市6.8%17.1%
大阪市10.9%23.7%
東京23区2.4%12.3%
横浜市1.4%8.0%
表1 <総務庁調べ、1988年>
<図4>

愛知県陶器瓦工業組合記事より

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